かつて地域に根付いていた個人商店やスーパーは、大手のメガスーパーの進出により、閉鎖するお店も珍しくなくないです。
こういう状況で一番困るのが「買い物難民」と呼ばれるお年寄り。
足腰が弱ってくると、100メートル先のスーパーに行くもの億劫だったのに、その慣れ親しんだスーパーさえ閉店してしまうと、バスやタクシーを使ってスーパーに通うしかなくなる。
「高齢化社会」
と言われて何十年もたつが、まちの機能は全然高齢化対応していないのです!
このような買い物難民と言われる社会的弱者を救済するべく立ち上がったのが住友達也氏率いる「とくし丸」
とくし丸とは何か?
ひと言でいうと、生鮮食料品を移動販売する事業です。
もう歩行器を使って恐る恐る歩いて買い物に行ったり、バスやタクシーで高い運賃を払ったり、子どもに買い物を頼んだりしなくていいですよ
!「玄関先」まで移動販売してくれます。通販カタログで選ぶのではなく実際に目で見て手に取って買い物できますhttps://t.co/bw8nHkfYZq pic.twitter.com/gBGNBftZbV— PopBang (@Pop_Bang_) August 5, 2017
繁華街等で見かけるクレープ屋さんやたこ焼き屋やケバブ屋で売られている完成食料品だけではなく、生野菜、刺身、冷凍食品、加工品など常温から冷蔵、冷凍まで様々な商品を扱っています。
もちろん同様の移動販売事業を手掛けているのはとくし丸だけではありません。
大手コンビニではセブン―イレブン・ジャパンやファミリーマートなども全国で十数地域で同様の移動販売を取り入れています。大手スーパーのイオンなども参画しています。
では、とくし丸と大手コンビニ・スーパーチェーンとの違いは何なのでしょうか?
資本力では圧倒的に大手チェーンに軍配があがるでしょう。
しかし、「ビジョン」ではとくし丸の勝ちだと断言します。
大手チェーンにはビジョンはなく、上層部が掲げている中長期計画に基づいて実行しているだけ。
でもとくし丸は代表の住友氏が掲げる強烈な理念があります。「とくし丸の販売エリアを日本全国毛細血管のように張り巡らし、高齢者の食や人とのふれあい、そして命を守る」というスタンス。
これに共感して、現在では日本全国で200台以上もとくし丸が走っています。
とくし丸の仕組み
あなたがとくし丸で移動販売をやりたい場合はどうすればいいのでしょうか?
とくし丸の移動販売事業は、個人事業主となり、提携スーパーの販売代行を行うイメージです。とくし丸のホームページでは「販売パートナー」とよばれていますね。
とくし丸の専用車を発注し、スーパーが取り扱う生鮮食品や生活雑貨等の移動販売を行います。
とくし丸のドライバーは、個人事業主として、販売代行を行う仕組み。通常、FCだと加盟店(≒ドライバー)は本部にロイヤリティを支払うが、とくし丸の仕組みでは、ドライバーからとくし丸本部へのロイヤリティは0ZERO!! pic.twitter.com/47TNRjiJNa
— PopBang (@Pop_Bang_) August 5, 2017
とくし丸の販売パートナー(個人事業での移動販売)は、フランチャイズに加盟する仕組みと似ています。
しかし、大手コンビニなどのフランチャイズと決定的に違う点があります。
それは、
在庫をもたなくてよい
本部にロイヤリティを支払わなくてよい
とくし丸本部は、全国各地にとくし丸をいち早く普及させ、買い物難民を助けるべく、販売パートナーの在庫リスクをなくし、ロイヤリティ負担などもなくし、熱心な販売パートナーにガンガン地域貢献し稼いでもらえる仕組みを構築しているのです。
事業説明会では、2017年8月時点で全国に走っている200台のとくし丸ではまだ採算がとれないラインだとか。今後、1000台、2000台と積み上げてはじめて黒字化するラインだそうです。
詳細は、とくし丸のホームページ経由で、問い合わせたり、事業説明会に足を運ぶと一番理解が深まるのはいうまでもありません。
販売代行の1日のスケジュール
朝7、8時~19時くらいまでの12時間労働で毎月20日以上稼働することになるので、一部の人からは「ブラック労働」なんて批判も。
事業説明会では、サンプルとして以下のようなスケジュールとの説明でした。
7:30 |
提携スーパーに行く 商品をピッキングし、とくし丸に積み込む ※ひとり1人のニーズを思い浮かべながら積み込むとけっこう時間がかかります。 |
10:00 |
販売ルートを回る ※1台のとくし丸で3ルート。月木、火金、水土のように3日に1度の頻度で回り、高齢者に買いだめさせず、常に新鮮な食料品を届ける |
1日平均50~70件もの個人宅を訪問 1軒あたり5~10分で、高齢者とおしゃべりしながら販売 |
|
17:00 | スーパーへ戻る |
19:00 | とくし丸本部へ営業報告、その他掃除や諸作業 |
12時間の間は、分刻みの過密スケジュール。
休みなく動き回ったり、お客さんの欲しい商品やニーズに考えをめぐらせたりしてあまり休む暇がなさそうですね。
200台稼働しているとくし丸ですが、最初は週6日稼働していたが、肉体的にキツいので、週5日稼働にする人もいるそう。
またシングルマザーの方などは、16時には営業終了し、子どもを保育園に迎えに行くそうです。
あくまでとくし丸の販売パートナーは個人事業主。
あなたのライフスタイルに合わせて、営業時間や営業日を柔軟に変更することができるのは魅力ですね。
収支シミュレーション
そして気になる収支シミュレーションです。ホームページで公開されている情報は以下の通り
収支の例。詳細な収支シミュレーションは事業説明会に足を運ぶととくし丸本部から提示してもらえる。燃料費は都心と過疎地で違うなど変動要因には注意が必要です https://t.co/LMuOF2ODll pic.twitter.com/NnRhuBnHb0
— PopBang (@Pop_Bang_) August 5, 2017
とくし丸は慈善事業ではありません。あくまでビジネス。
そのためいくら地域の買い物弱者のためになるといっても、採算のとらないことはやりません。
とくし丸本部の方針としては、誰でも日販8万円を稼げることを1つの目標としています。
日商 = 客単価 × 訪問客数
なので
8万円 = 1600円 × 50人
くらいの計算になりますね。
ちなみに一定期間、客単価が1000円未満のお客さんは、深いニーズがない(とくし丸以外に購買手段を利用していると解釈)と判断し、訪問頻度を減らしているそうです。
なお、とくし丸は冷蔵設備を搭載した車両ですので、原則、停車中もエンジンはかけっぱなしになります。
燃費はリッターあたり平均4キロだとか言われていますので、ガソリン代は過疎地など1日の移動距離が100キロ程度になる場合は少し負担になるかもしれません。
初期費用(イニシャルコスト)
とくし丸の初期費用は移動販売車両が主な費用になります。
初期費用です。コンビニやラーメン屋などのFCリアル店舗をOPENさせると軽く1000万くらいかかりますが、とくし丸なら車両費用で済みます。車両も下取りに出せるので、もし販売パートナーから撤退しても車両代まるまる損にはならないはず https://t.co/LMuOF2ODll pic.twitter.com/QaKgLSbcPx
— PopBang (@Pop_Bang_) August 5, 2017
1トンクラスのトラックになると1000万以上かかるし、路地裏など細い道に入れないので、軽トラの購入を前提に320~340万と見積もっているそうです。
もちろん車両をキャッシュで買わずローンで買った場合は、借入金の利子分は経費計上できます。
確定申告の際は、ローンの返済計画表の利子分を経費計上するとよいでしょう。
政策金融金庫などに相談すれば300万程度ならまず融資の審査は通るハズです。ブラックリストに載っていない限りは。
※詳細は税理士、会計士など専門家に相談ください。
まとめ
とくし丸は1日の稼働時間だけで12時間あるし、スーパーまでの移動時間や、お客様の情報管理や好みの品物の提案など考えることは山ほどあり、確かに一般の会社員の仕事よりは負荷が高いでしょう。
ですがその分やりがいはあります。
やればやるほど儲かる仕組みがありますし、何より買い物に行けなくて困っているお年寄りから「ありがとう」と感謝してもらえます。
今後も高齢者の人口は15年先まで増え続けますし、医療・介護の技術の進歩で平均寿命は増加傾向にあるのを加味すれば、まだまだ需要が増えるビジネスだといえますね。
あなたがもし今の仕事で「自分が役に立っている感がない」「いくら売っても会社に搾取される」などで強い不満があるなら、とくし丸の販売パートナーを検討してみてはいかがでしょうか?
やる/やらないはともかく、新しい世界を見てみると視野が広がるのでぜひオススメします。
事業説明会行くだけなら無料(交通費くらい)ですし、私も行ってきましたが足を運ぶ価値があります。
※とくし丸は、オイシックスの関連子会社です
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