私もはじめて聞いた時は目を疑った。
しかし、調べれば調べるほど保険とギャンブルは似ているのだ。
その実態を紹介しよう。
保険の起源はギャンブルだった?
出典:The Coffee House – A History
ギャンブルの保険は根っこは同じだ。
そこには自分の船や積み荷に保険をかける人たちが集まっていた。
加えて、他人の船が、沈没したり海賊に襲われず無事に帰港するかどうかに、大金をかける人たちもいた。
他人の船の無事、つまりは船員である人の命に対して賭博が行われていると解釈できる。
※コーヒー店は、現在ではイギリス最大の保険会社ロイズとして世界展開している
その後は、他人の船だけでなく、賭けの対象は、選挙の結果、ナポレオンがいつ死ぬか?、ルイ14世がいつまで生きていられるか?などに対象が拡張していった。
現代版の生命保険との違い
では現代版の生命保険とロイズコーヒー店の賭博と何が違うのだろうか?
簡単にいうと「倫理的な大義名分があるか否か」ということ。
ロイズコーヒー店では、あなたが、他人の(船)が生きるか死ぬかに賭ける。
賭けが当たったら、あなたが保険金がもらえる。
一方、現代版の生命保険では、あなたが、配偶者(妻、夫)が生きるか死ぬかに賭ける。
賭けがあたったら、あなたが保険金がもらえる。
どちらも他人の死に対して保険金がもらえるのは同一。
しかし、現代版の生命保険では、あなたが死んだ後、残された配偶者や子供が経済的に
(稼ぎ頭の夫が死んで収入源が絶たれても)困ることのないように、
保険金が必要だという倫理的な大義名分がある。
この大義名分さえなければ、生命保険の本質はギャンブルと大差ない。
生命保険会社とギャンブルの胴元は同一?
生命保険会社の儲けの仕組みもギャンブルの胴元が儲かる仕組みと同一だ。
生命保険は、「ブラック宝くじ」「不幸な宝くじ」と揶揄されることがある。
死亡、事故、病気などの「不幸」なハプニングに当たると保険金がもらえる仕組みのためだ。
その保険金は、他の人たちが支払っている保険料から、生命保険会社の運営費を除したものから支払われる。
このような集めたお金からテラ銭(≒参加料、運営費)を差し引いて、胴元である生命保険会社やギャンブル運営者は儲けている。
ギャンブルと生命保険のテラ銭の比較
世の中に存在する数あるギャンブルの中で、最もテラ銭が高いのは、宝くじだ。
宝くじは約55%のテラ銭がとられている。
例えば、あなたが100円の宝くじを買えば、55円のテラ銭が国に取られている。
競馬や競輪のテラ銭は20円~30円なので、宝くじよりは戻りがいい。
ではいったい保険のテラ銭がいくらなのだろうか?
保険のテラ銭は、損害保険では、38円だといわれている。
一方、生命保険は38円以上の数字であろう。
なぜなら、損害保険よりも生命保険の方が商品を売りにくく、コストがかかるためだ。
参考までに、宝くじや競馬競輪などの公営ギャンブルと違い、街中のパチンコ店などは、
テラ銭10~15円程度だ。市場競争の原理が作用し、テラ銭を圧縮しているのだと思われる。
まとめ
・保険のギャンブルの起源は同一
・保険とギャンブルの違いは「倫理的な大義名分」のみ
・生命保険や損害保険のテラ銭は、宝くじと競馬競輪の間
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