2015年は日本全体でラグビー熱が急上昇した1年で、9月からイギリスで開催されたワールドカップでの日本代表の活躍が記憶に新しい。
中でも、日本代表の五郎丸歩選手は、雑誌メディアにたびたび登場するなど、国民的スターとなった。
その五郎丸歩選手が所属するヤマハ発動機ジュビロのウエイトトレーニング事情を調べてみた。
トレーニング開始は早朝6時
※2011年に清宮克幸監督が就任してから、スクラム特訓のレスリング練習のためジムのマットエリア(右上)を拡大した。
ヤマハ発動機ジュビロのトレーニングジムは、チームの豊田寮内にある。
豊田寮は、ラグビー部専用の独身寮で21年前に完成したという。
その豊田寮に、冬場だと日が昇り切らない、薄暗さの残る朝6時から選手のトレーニングは開始する。
現役のボディビルダーが徹底指導
ヤマハの選手全員のウエイトトレーニングを統括しているのは、井野川基和コーチ。
2011年大阪クラス別ボディビル選手権60Kg、2013年大阪クラス別ボディビル選手権65Kg優勝の経歴を持っている現役ボディビルダーである。
その井野川コーチがヤマハ発動機ジュビロのスタッフとして招聘(しょうへい)されたのは2014年だった。
井野川コーチいわく
大学時代は天理大でラグビーをやっていたため、体づくりとラグビー両方の経験者ということで、コーチの依頼をいただいた
出典:IRONMAN 2016年3月号
という。
井野川コーチの就任当初は、五郎丸歩選手をはじめ、ヤマハの選手達は身体能力こそ優れているものの、体つくりについては素人同然。
ラグビーに必要な理想の体や、体をつくるためのトレーニングや、基礎の基礎から徹底的に指導したという。
井野川コーチは、指導1年目においては、基礎の基礎を最も重要視し、
バーベルの重さにはこだわらず、基本のフォームをしっかりと習得させた。
選手たちがたただ、ウエイトトレーニングをやらされているのでなく、鍛えるべき筋肉を選手自身が理解しながらトレーニングできるように、解剖学の本を片手に指導した。
出典:IRONMAN 2016年3月号
オンシーズン中は1日2回のトレーニング
▲五郎丸歩選手の腹筋トレーニング クリックで動画再生
出典:五郎丸歩選手のTwitter
トレーニング内容は、ボディビルダーが行う全身の筋肉を部位ごとに分割して鍛えるトレーニング。
脚、胸、肩、背中、腕、と全身を5分割させて日ごとに鍛えている。
シーズンオフの春からはグラウンド練習の時間が減るため、5分割でのウエイトトレーニングの時間が確保しやすい。
しかし、トップリーグが始まる9月以降は、毎週末に試合があることを考慮し、3分割で回していくことになる。
基本は、月火水でウエイトトレーニング&グラウンド練習、木は休養し、金は軽いグラウンド練習、土or日は試合というスケジュール。
シーズンオフは、週5日に分けていたウエイトトレーニングを、オンシーズン中は、月火水の3日間に詰め込まなければならない。
そのため、1日2回のウエイトトレーニングも当たり前という。
選手たちは朝練後、ヤマハの本社や工場に出勤し、午後2時まで働き、その後午後5時ごろまでグラウンド練習。
その後、午後5時以降、各自やり終えていないウエイトトレーニングをやっています。
五郎丸歩選手は、午前中は取材で埋まっていることも多い。
出典:IRONMAN 2016年3月号
と、井野川コーチはいう。
なお、早朝6時からのウエイトトレーニングも約40分で終えるメニュー。
そのため、セット間の休息も30秒が基本。
スクワットやデッドリフトなど心肺機能を使う種目でも、最大60秒のインターバルが上限。
このようにセット間のインターバルを少なくすることによって、1回のトレーニング時間を短縮しているため、オンシーズン中のグラウンド練習の合間にでも、ウエイトトレーニングを継続することができる。
スタッフや家族も練習できる
選手の練習時間を除けば、スタッフだけでなく、選手の家族も自由にジムを使えるのもヤマハならでは。
選手の朝練終了後に、井野川コーチをはじめ他のコーチ陣も、トレーニングに汗を流す日々だそう。
最後に
あまり知られていないですが、2019年には日本でラグビーのワールドカップが開催される。
今後も、日本のラグビー熱はまだまだアツくなりそうなので、五郎丸歩選手をはじめとして、目が離せない
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