マイノリティレポートで、トムクルーズ演じるジョンアンダートンは、未来殺人罪で容疑者として追われているシーン。
街中の至る所で、眼球をスキャンされ、瞬時にジョンアンダートンと識別され、個人情報を取得され、電子看板などからセールスされまくるのが印象的ですね。
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このようなSF映画のワンシーンには、どのような技術が用いられているのか、また実現されるのはいつごろになるのか、調べてみました。
数多くあるうちの生体認証のうち、虹彩認証を使っている!?
マイノリティレポートの映画のワンシーンの眼球をスキャンするのは、一般的には生体認証と呼ばれる認証技術です。
眼球をスキャンされるというシーンからは、網膜認証か虹彩認証の技術が応用されていると推定できます。
映画中では、歩いているトムクルーズが、数m離れた位置に設置されているセンサーから眼球をスキャンされているため、おそらく虹彩認証の技術を応用している脚本のようです。
なぜなら、網膜認証するためには、センサーに眼球を至近距離(数十cm程度)に近づかなければならず、数m離れた位置から眼球をスキャンし分析できる技術は虹彩認証だけだからです。
人間の目の構造上、網膜は眼球の奥にあり肉眼では見えませんが、虹彩は眼球の表面にあるため肉眼で見ることもできスキャンしやすいのです。
出典:Schematic diagram of the human eye ja.svg
マイノリティレポートでは、2054年の未来には虹彩認証が日常化した世界が描かれていました。
現在を生きる私たちが目にする虹彩認証の例をあげましょう。
空港での入出国管理で実用化されている
代表的なのが空港セキュリティシステムへの採用です。
2001年に起きた9.11の同時多発テロ以降に、アメリカをはじめ世界各国のテロリストの入出国への警戒が一段と強まりました。
このような入出国規制に効果的な施策として、ICAO(International Civil Aviation Organization=国際民間航空機関:イカオ)では、空港での入出国管理システムへの生体認証を提唱している。生体認証の中でも導入すべきとしているのは、顔、指紋、虹彩の3つであると提案している。基本的には、画像による顔認証を基本とし、オプションで指紋や虹彩を付加すると認証精度が高まるというもの。
世界的にはいち早くオランダのアムステルダム・スキポール空港で2001年から虹彩認証を使ったパスポートなしの入出国手続きが開始されています。導入初期は、EU域内のシェンゲン協定加盟国間を移動するフライトのみ虹彩認証のみでの入出国管理をしていましたが、現在では徐々に導入対象の国が拡大しています。
オランダ以外にもアラブ首長国連邦やイギリス、アメリカやカナダなど主要国で虹彩認証が実用化されています。
スマホ画面を見るだけでロック解除される!?
もっと身近なところにも虹彩認証のしくみを利用した機器があります。
2015年5月には世界初の虹彩認証スマホが富士通社から発売されました。
出典:富士通社HP
「あなたの瞳が、カギになる」
というコンセプトで、スマホの画面ロック解除に虹彩認証が使われたのです。
通常、スマホを取り出してから画面をスワイプ(指でなぞり)、パスワードを入力するところを、画面を見るだけでロック解除ができるのです。
認証時間も1秒足らずなので、ストレスフリーでスマホのロック解除ができます。
注意点としては、直射日光が目や端末に入っていた利、サングラスやカラーコンタクトで虹彩が隠れてしまうと認証できなくなることぐらいです。レーシックは虹彩でなく角膜への施術のため問題なく虹彩認証できます。
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他にも、クリーンルームや食品工場への入退室時への導入が進んでいます。クリーンルーム入室時には、全身洗浄し、アイマスクやマスク、手袋が必須なので、IDカードなどを取り出すことができません。このような場合、ドアノブにすら触れることなく入れる虹彩認証は便利です。
虹彩認証の原理
虹彩認証の技術的な原理が知りたいという好奇心旺盛な方にオススメなのが以下の解説サイト
図解いりでわかりやすく解説されているため、理系の専門用語がわからなくても理解できます。
参考:虹彩認証の原理
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